ちぐま日記 bis ~フランス・ナントより

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ウィスパーボイスは進化する シャルロット・ゲンズブール ライブ

先週は夫が不在だったので子ども二人の世話になかなかハードな数日を過ごしたのですが、
木曜日の夜、帰ってきた夫に子どもたちを任せて向かったのは、
ナント島、象のお隣に昨年末に新しくできたStereoluxというライブ会場。
シャルロット・ゲンズブールのコンサートを観にいくためです!!!!!!!!!!!!!!!!

2006年、20年のときを経て歌手活動を再開したもののツアーはやらないと宣言していたシャルロット。
しかしジェットスキーの事故、そしてその後の頭の手術が大きなターニングポイントとなったのか、
ベックと作ったアルバムIRMをひっさげ2010年にまさかのツアーを行いファンを驚かせました。
しかしこのツアー、わたしは運悪く日本帰省中で行けなかったのです。。。

そして今回。
夫がナントを留守にする日なのはわかっていながらもチケットを購入。
20時開演、前座が一組。
夫が帰ってきてから、子守をバトンタッチして、途中からでもいいから行こう!と。
途中からだときっともう、米粒くらいのシャルロットを最後尾から眺めることになると思うけど
それでもいいから行こう!と思っての購入。
けっきょく当日は夫が私のために会議を途中で抜けてきてくれて(いいんだろうか?)、
20時すぎに家を出発できました!
シャルロットの出番には間に合いそう!






今回のライブ会場StereoluxはOlympicの後身らしい。
ということはOlympicはなくなったのか・・・さみしいな。
会場に近づいたあたりから、入り口付近に人がわらわら。
みんな中に入っていてあたりの道にはネコ一匹いない様子をイメージしていたのに。
中に入ったら、バーやテラスで一杯飲んでいる人がたくさんいて、ぜんぜん緊迫していない。
さらにホールに入ると、まずホールの小ささにびっくりしたが、
まだほとんど人が入っておらず二度びっくり。
前座バンドの演奏が終わり彼らがステージを去っていったんホールが明るくなったところで
シャルロット同志のMさん発見。
ステージから三列目あたり、シャルロットが座るとおぼしきスツールから
およそ5mという至近距離に陣取る。
こんなに遅れてきたのに願ってもない場所でシャルロットを拝めることになりそうで感激する。

ふたたびホールが暗くなって、
今回ツアーに同行するコナン・モカシンほかバックミュージシャンをひきつれ、
全身白を装ったシャルロット登場・・・!
少し背を丸めて大またにあるく歩き方、緊張した面持ちの微笑・・・
長年見つめ続けた印象そのままのシャルロット・ゲンズブールが目の前に・・・!!!!!!!

本物のシャルロットをみる、という感動をどういうふうに伝えたらいいか・・・
彼女の存在自体が、フランスポップカルチャーの伝説のようなものである。
生まれながらのポップアイコンであるという自分の境遇に
押しつぶされることも甘んじることもなくやってきて(女優としてもうじき30年!)、
ひとりの女優としてほんとうに素晴らしいのがすごい。
日本にいるときから、彼女の出演している映画はほとんど観てきた。
画面のなかのひと。あるいは写真のなかの。
住む国だって遠かった。
生のシャルロット・ゲンズブールと対峙する、同じ空間を共有する、
そんなことは想像だにしたことなかった。
自分の5m先でシャルロット・ゲンズブールが歌う・・・
この瞬間から、今現在まで継続して、私は夢の中にたゆたうような気持ちです。

ライブでは、今年発売されたアルバム曲のほかにもIRMからの曲もけっこう歌っていました。
はじめの数曲は、髪に手をやったりするときに手がすこし震えてたりして
やはり緊張しているのかな、と思いました。
でもただの女優が歌うのではない!
そこはなんといってもゲンズブールの娘である!
小さいころのお父さんのピアノレッスンは厳しかったような話をどこかで読みましたが、
音もはずさないし、リズム感もすばらしい。
安心して聞けます。
なんといっても、ときどきアゴをくっとしてリズムをとる仕草がお父さんにそっくりで私は大好きです。

AIRとのアルバムではまだささやくように歌っていた彼女も
ベックとのアルバムIRMではしっかり歌っていてこれもファンにはびっくりだったはず。
事故後の手術を経て、しっかりとした声で歌いたいという気持ちが自然にわいてきた、
と言っていたのをCD発売後の雑誌のインタビューで読みました。
かといってささやき声が封印されたわけではなくてウィスパーボイスで歌う曲もあったけれど、
それも、なんというか、ウィスパーななかにも声に芯があって、
「こうとしか歌えない」ウィスパーではなくて、
「こうも歌える」というコントロールのようなものを感じて頼もしく思ったり。

シャルロットのスツール横には、マラカスなどの打楽器というかリズム楽器が数種類置いてあって、
えーっと、次の曲には・・・どれだっけ?という感じで選ぶシャルロットがかわいかった。
そして意外と勢いよく大きく振る!強く!ぶん!ぶん!
ヴィブラフォンだってひいてみたり。
さらにはドラムだって一曲たたいてみたり!大サービス!
コナンとふたりでステージ床にぺたっとあぐらをかいてデュエットする一幕も。
男女で同じキーを歌うという不思議なデュエット。
はにかみ系の笑顔が似ている。

しかしこのコンサートでなにが嬉しかったってやはり!
1986年のお父さんとのファーストアルバムから3曲も歌ってくれたこと!
コンサート開始から4曲目で歌ってくれたOuvertures éclair。
インスト部を聞いて、お、、、似ている・・・!?と思ったものの
歌部分に入る直前にちょっと違う音が来て、あ、やっぱり違うか・・・とがっくりした瞬間の
"J'ai des ouvertures éclair..." の歌いだし!
鳥肌!!!!
まさか15歳のときのアルバム曲を歌ってくれるとは思わなかったので不覚にも涙がでそうになりました。
そして中盤でのPour ce que tu n'étais pas、
さらにはアンコールでDon't forget to forget me。
10代の頃震えるような小さな声で歌った曲を、40歳になった今、
透明感をすこしも損なわずに安定感あるウィスパーボイスでもって歌えるシャルロットはすごい。
すこしセリフ的(?)な部分の入るDon't forget to forget meは、
「ああ!このひとはほんとうに女優だ!」と強く感動。
この曲の演奏中、まるで超短編映画をみているような気分になりました。

10代の頃にお父さんのもと歌ったファーストアルバムの曲を今歌おうと思ったのには、
どういう心境の変化があったのかな、とおもいます。
これまた最近のインタビューで、AIRをはじめこれまで歌手活動を再開してからコラボレーションしてきた
ミュージシャンの共通点について質問されて、
今回いっしょにツアーを回っているコナン・モカシンについて、
「ニュージーランド人だし私の父の音楽からインスピレーションをえているとは思わない」
というふうに言っていて、
さらに「私の曲を彼が演奏すると新鮮。新しい息吹が吹き込まれるし新しい色がでていい」んだそうで、
ゲンズブール音楽の影響圏外から来たひとと作るコンサートだからこういう3曲もできたのかなあと
インタビューを読んで勝手に想像しました。
昔の曲を歌う彼女には、回顧主義的なものじゃなくて、
逆に、そこを踏まえてさらに一歩先へ行くんだなあ!という印象をもちました。

シャルロットはずっとずっとぶれないのに、いつだって前進していっている。
そこにいる、と思ったらもうひらりと別のところにいるような。
はかなさと芯の強さという共存する相反する魅力はそのままに、
軽やかさとしなやかさを増してシャルロットはさらに進化を続けている。
日本ではまだ少女の頃のイメージが根強いのか
「フレンチロリータ」などという言葉で形容されてしまうことがまだあるようだけど、
今のシャルロット・ゲンズブールはそんな小さなところにはとどまっていませんよ!
インとアウトのあいだギリギリのところを走り続け
それでもやっぱりいつだってかっこよかったお父さんの血は争えない。
リスクをおそれない最近のチャレンジャーっぷりを頼もしく思いながら見つめています。
アクション映画だってやってみたいそうですから!
今年の10月からまた新しいアルバムの製作に入るそうで、それもほんとうに楽しみ。
再来年あたりにはまたライブで生のシャルロットを拝めるかしら?
んもう、一生あなたについていきます!シャルロットーーーーーー!
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by tchiguma | 2012-05-13 23:11 | 本・音楽・映画・テレビ | Comments(0)