ちぐま日記 bis ~フランス・ナントより

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小さなアマゾンの料金所に、ラピュタを見た

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ナントのSNCF駅南口からそう遠くないところに、
プティット・アマゾニ(Petite Amazonie)と呼ばれる区域があります。
かつてこの場所は、中心街から距離的に近いにもかかわらず、
交差する複数の路線線路によって
ナントの他のカルティエから遮断された状態になっていました。
いわば陸の孤島です。
ロワール川の水かさが増せば浸水しやすいもともと湿った土地だったようですが、
第二次世界大戦中の爆撃でさらに穴やくぼみの多い区域となりました。
人の入らない土地なので空爆でできた土地のでこぼこはそのまま放置され、
そこに雨が降り、水がたまって池や沼ができ、
草木が生え、育ち、鳥が来て繁殖し・・・
そうして、多様で豊かな生態系の自然区域、
「小さなアマゾン」ができあがりました。
人口増加が著しいナントですから、
中心街にも近いこの場所を、都市部に組み込むべく再開発することもできたと思います。
でもここは自然区域として残されることになりました。
人間は立ち入り禁止です。
鳥と動物と植物だけために、これだけ広い空間(18ヘクタール!)を、
ここに残してしまおうという決定!
私はすばらしいと思います。

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グーグルマップより






その昔、その先へのアクセスを拒んだ線路も今日は高架になっています。
トンネルをくぐって線路の向こう側へ出ると・・・

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緑!

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看板より向こうは立ち入り禁止。
まったく人間の手がはいっていないのがムンムンわかる景色が広がっています。
ロワール川流域の、本来の自然な生態系が取り戻されているようです。

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そして冒頭の写真にもあった下のもの。
プティット・アマゾニ自然区域のすぐわきに設置された、
遠めに見ると、ギリシア神殿のような趣もあるこの・・・うーん、
建物?ではないし・・・
オブジェ・・・?と呼んでもいいものか・・・?
なんと言っていいか分からないこの物体は、
昨年のESTUAIREの現代アートの作品群の一つ。

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オランダのアートチームによって手がけられたこの作品は
その名もPéage Sauvage、つまり野生の高速道路料金所。
なるほど近くから見たら、高速道路に乗るときに通る、料金所だわ、と納得。

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なぜ高速の料金所なのかというと、
1970年代にこの場所に高速道路を通すプロジェクトも存在したらしいのです。
しかしそのプロジェクトは実現しなかった。
そしてその高速道路が走ったかもしれなかった場所に、
今、鳥が歌い、緑が風に揺れて、地面ではトカゲが草のかげを這っている。
そういう状況を、「進歩のおとぎ話」として表現したんだそう。
高速道路が象徴するような発展の道もあった。
だけど今日、この木でできた巨大な「高速道路」の上で、市民が集い、憩いの時間を共有する。
・・・書いていて、ちょっとラピュタの画が脳内をチラチラしました。
ロボット兵が苔むして花や緑に覆われている、ああいう感じ。

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Observatoriumと書いてあったので、てっきり、
自然区域を観察できる展望台的なはたらきもあるのかと思って出かけた我が家。
階段をのぼって、「料金所」の上階にでることはできますが・・・、

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はっきり言って何にも見えません!!!!
展望台じゃないの!?ぷんぷん。
かろうじて沼地が木々のあいだに垣間見えたのみ。

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あ、作品プレート。
そしてヌケ作一家は、Observatoriumが展望台ではなくて、
作品をつくったグループの名前であったことを遅まきながら知るのでした。。。

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Observatoriumのサイトで、上空からの写真をみると、
作品のようすがより一層よくわかります。
こちらのページ



Péage Sauvage
Avenue de Berlin , 44000 NANTES
毎日9h30~19h

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by tchiguma | 2013-05-04 05:03 | ナントに暮らす | Comments(0)