あっという間に四月!
昨日のエイプリルフール、フランスでももちろん
ウソを言い合って楽しみますが(他愛のないやつね)、
子どもたちのいたずらというか遊びとして、
まわりの人の背中にこっそり魚をくっつける、というのがあります。
でもいたずらを仕掛けていると思っている子どもの背中にも
実は知らないうちに魚が貼られてたりして、
四月一日のフランスの子どもたちはみんな、
しょっちゅう自分の背中に手をやってチェックを怠りません。
そんな昨日、家族よりも遅く起きたら長男の背中に魚が泳いでいたので
お、やっとるな、と思ったのですが(ただし思うだけ。長男に気づかれてはいけない)、
夫を見たらもっと豪快なやつがたくさんぶら下がっていたのでした。
やられても気づかないふりしてあげるのが大人というものです。
フランス語でエイプリルフールはPoisson d'avril(ポワソン・ダヴリル)、
四月の魚、という意味です。
今まであまり気にも留めなかったけどなんで魚なのかと思って今更調べてみたら、
興味深いことを知りました。
16世紀までフランスでは新年のスタートが今のように1月ではなく、
春スタートだったようなのですね!
おそらく3月末か4月が一年の始まりだった。
元旦は地域によってまちまちだったらしいけど、だいたいそのあたりだった。と。
季節的にも合点いきますよね。
暗く寒い冬が終わって草木の再び芽吹きだす復活の季節を
あたらしい一年の始まりだと古人が考えたというのは至極自然に思えます。
そして新年のあいさつにあたるようなプレゼントを贈りあう習慣が、
この春の時期にあったようなのです。
この習慣は今のクリスマスプレゼントの元の形だといわれています。
キリスト教世界では3月終わりから4月にかけてというのは四旬節にあたり
肉食が禁じられていました。
なので親しい間柄同士で魚を贈りあっていたのが、
今は紙切れの魚になって背中に張り付けあうようになったんじゃないかというのが一説。
ほかには、1564年にシャルル9世が1月1日を一年の始まりとする!と決めたのだけど、
もちろんいつの世にも習慣を変えられない人たちはいるわけで、
これからは1月にされるべき新年の贈り物を、
いつまでも旧式の4月にし続ける人たちがでてきて
そういう人たちを笑いものにしてばかばかしくて嘘くさい贈り物をしたり、
ニセのパーティーの招待状を送ったりしたのだけど、
そのバカバカしい贈り物が生魚だった、という説とか。
あとは、12星座でうお座が冬の最後、つまり一年の最後の星座で、
冬の終わり、春の到来を象徴する生き物だから、とか・・・。
どれもいまいち決定打に欠けるというか信憑性が薄い感じもするんですが、
実際どういう経緯でいまの習慣が生まれたのかよりも、
フランスでだって16世紀まで一年の始まりは春だった、
ということを知ったのは私にとって収穫でした。
日本でも長く新年=新春でしたもんね。
今や世界的にみても学校や会社の新年度が4月始まりというのは珍しくて、
なんで日本だけこんな変な設定なんだろうと思っていたけど、
人間の古来からの感覚に沿えば変でもなんでもなく、
むしろ歴史の中で支持されてきた時間的な長さを思えば残り少ない正統派なのでは!?
などと思いました。
よい新年度をお迎えください!
↓下の写真は、エイプリルフールの日に遊びに来てくれた次男の友達家族が
「今日はありがとう」のSMSとともに送ってくれた写真。